everlasting love~幾星霜の果て


1人目の演奏が終わり、大きな拍手が聞こえてきた。

いよいよ俺の番だ。




「小林、おまえ楽譜は?」




隣のクラスの文化祭実行委員が、手ぶらの俺を見て不思議そうに尋ねる。




「や、暗譜してるから」


「すげーなー」




感心するこいつは、これから俺が弾く曲のタイトルを実行委員という立場上知ってはいるものの、

それがいったいどういう曲なのかは知らない。

知っているのは、その曲を作った偉大な作曲家の名前だけだろう。




『――続いて、2年C組の小林瑠衣くんの演奏です』




マイクを通して、全校生徒に俺の名前が紹介される。



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