everlasting love~幾星霜の果て
1年のクラスのほうに視線を移すと、じっとこちらを見入っている律の姿もあった。
静かに、鍵盤の上に指を置く。
そして、ひとつだけ、小さく深呼吸。
いつもの儀式に、今日だけは強い願いをかける。
――この曲を聴いて、思い出してくれ。
祈るように目を静かに閉じてみれば、瞼の奥に浮かぶのは蜂谷の姿だった。
『演奏する曲は、ベートーヴェンの“ハンマークラヴィーア”第4楽章です――』