everlasting love~幾星霜の果て


「どうしたの? 明日の準備で忙しいんじゃないの?」




眉をひそめながら俺の顔色を伺う律に、単刀直入に言った。




「今日の俺の演奏、どうだった?」




一度は落ち着いた胸の鼓動が、再び加速し始める。

律のクラスに行くまでのあいだに頭のなかで妄想していたシーンが現実になるように、と必死に願う。




「――あぁ……、あの曲……」




今もなお俺の頭のなかで繰り広げられる妄想は、律の重い口調で、がらり、と音を立てて少しだけ崩れた。




「あの曲……、ちょっときつかったな」




苦笑する律に、妄想のかけらがまた、がらり、と崩れる。




< 170 / 555 >

この作品をシェア

pagetop