everlasting love~幾星霜の果て
「きつ……かった?」
「……うん。瑠衣は、忘れちゃったの?」
悲しげな瞳で俺を見据える律は言葉を続ける、
「あれは……いつの時代だったかな。断片的にしか覚えていないんだけど」
「…………」
「わたし、ピアノであの曲をいつも練習していた。……そう、瑠衣がわたしのピアノの先生で……」
がらり、がらり、と、律が言葉を紡げば紡ぐほど、儚く崩れていく俺の妄想。
「あの曲でどこかの音楽院を受けようとしたんだけど、結局は受けられなくて。その直後だったかな? ……わたし、顔にひどい火傷を負ったのよね」
俺が願っていた“蜂谷=カヤ”の図式と、律がカヤじゃないという妄想は、とうとう跡形もなく崩れ去ってしまった。