everlasting love~幾星霜の果て
「――あの曲を聴くたびに、あの頃の壊れてしまった自分の夢とか、火傷のこととか思い出して。……わたしのなかでは耳を塞ぎたくなるほど、嫌いな曲なのよ」
苦笑しながら律は言う。
“嫌いな曲なのよ”、と。
「そ……っか。……や、悪かった。俺、そのときのこと覚えていなくて」
こんな嘘、律に通用するのか? と、言った直後に思った。
わざわざあの曲を弾いて、
今こうやって、わざわざ“どうだった?”と訊きに来る時点で、俺の企みなんか分かるはずだ。
ほんとうにカヤなのか試しているのだ、と。
「――いいのよ、瑠衣。確かめたかったのよね?」
それなのに律は、優しく笑って、俺の浅はかな企みを許す。