everlasting love~幾星霜の果て
家庭科室に向かって進んでいた足が、途中で進行方向を替え、教室へと歩き始めた。
いまごろみんな、わいわい騒ぎながら楽しく明日の準備をしているに違いない。
こんな気持ちのまま、そんな輪の中に飛び込んでいくのは無理だ。
今の俺は、葬式帰りのように、どんよりと重い空気を身に纏っているのだから。
少し気持ちを落ち着けてから家庭科室に戻ろうと、教室の後ろのほうの引き戸を静かに開けた。
「………?」
誰もいない、がらんとした教室。
いつもとは違う光景が目に映った。
蜂谷の席のイスが倒れている。
そのせいで、机のなかが丸見えになっていた。