everlasting love~幾星霜の果て
絶望と崩壊
「ね、聞いてんの?」
囁くような蜂谷の声が、突然耳に飛び込んできて、思わず、びくりと肩が震えた。
「あ、ごめん。なに?」
「帰ろう。もう7時になるし」
蜂谷はマフラーを巻きなおしながら立ち上がる。
トイレを出て、真っ暗な校舎を手探りで進んでいくと、制服の後ろの裾に重みがかかった。
そこに手を伸ばすと、寒さで冷たくなった蜂谷の手に触れる。
「……触らないで。あんたの制服の裾でじゅうぶんだから」
蜂谷の憎まれ口なんか、いまの俺の耳には届かない。
無言で蜂谷の手をギュッと握りしめた。