everlasting love~幾星霜の果て


母さんの話を聞きながら、テレビのほうを見やる。

映し出されたのは、広大な土地の一角にある当時の残物。




「母さんはね、畿内説に賭けてるのよ。だってね、」




母さんの持論が続くけれど、俺の視線はテレビに釘付けだ。




『この区画からは生活に使われる土器が発見されていないこと、また祭祀用具が大量に捨てられていたことから、重要な祭祀が行われた施設である可能性が……』




あれは、主祭殿だ。

……ヒメミコ様やカヤが過ごしていた、俺には縁のない建物。



母さんや普通の人が見れば、どのような形でそれが存在していたのかなんて分からないだろう。



だけど、あの時代に存在していた俺には分かる。

封じ込めていた記憶がじわじわと蘇るのを感じた。



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