everlasting love~幾星霜の果て


ヒコミコ様は、ヒメミコ様の弟。

凄まじい霊力があり、神に近い女王として崇められたヒメミコ様とは違い、ヒコミコ様は普通の人間だった。


それなのに、まるで自分が王にでもなったかのように威張り散らしていて。

民たちや女王に仕える者たち、すべてが彼を快く思っていなかった。



ヒメミコ様が亡くなったことで調子付いたんだろう。

カヤ様という次期女王が存在するのに、彼はこの国の実権を握ろうとしている。




「ヒコミコ!」




ヒコミコ様の住まいに着くなり、カヤ様は酒を飲んでいた彼に掴みかかった。




「どういうことだ、奴婢たちも埋葬するとは。ヒメミコ様はそのようなこと望んではいなかったぞ」




こんなに怒ったカヤ様を、わたしはこのとき初めて見た。



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