everlasting love~幾星霜の果て


「……これはカヤ様」




ニヤリと笑みを浮かべたヒコミコ様は、カヤ様の手をゆっくりと引き剥がしながら言葉を続けた。




「確かに姉上はそう言っていました。しかし、望みどおりにしてしまうと、女王としての威厳はどうなるのでしょうか?」


「………っ」




“女王としての威厳”



ヒコミコ様は、カヤ様がこの言葉に弱いことを知っていた。

次期女王の座につくカヤ様に、ヒメミコ様は生前よく言っていたから。



“女王としての威厳を失うな”――と。



ヒコミコ様は手にしていた杯で酒をひとくち飲んだ後、哀れむように言った。




「女王たる者が1人の従者も持たずに神のもとへ旅立つとは……嘆かわしい」



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