everlasting love~幾星霜の果て
話し声が漏れていたのは、ヒコミコ様の住まいからだった。
わたしとカヤ様は顔を見合わせ、物音を立てないよう身を潜め、耳をそばだてた。
「……しかし、災いが起きませぬかな」
この声は確か、ヒコミコ様の側近・スグリだ。
ヒコミコ様をひどく崇拝していて、王にふさわしいとまで言っていると侍女たちから聞いたことがある。
「災いだと?」
そう鼻で笑ったのはヒコミコ様だ。
……やっぱりわたしは、この人が好きになれない。
声を聞いているだけでイライラしてしまう。
「姉上が生きておれば、なおさら災いが起こる。月が太陽を覆い隠すなど……女王でありながらあのような不吉なことを防げぬとは」