everlasting love~幾星霜の果て


ヒコミコ様は、あきらかにヒメミコ様に呆れ果てているような態度だ。




「しかし、ヒメミコ様を殺めたことが民に知れれば、ヒコミコ様の立場も」


「黙れ。そのことは決して口にするな。どこで誰が聞いておるか分からぬ」




――……今、なんて言った?



一瞬、耳を疑った。



“ヒメミコ様を殺めた”?



心臓がどくりと、重苦しい音を立てる。


ふと隣を見ると、月明かりに照らされたカヤ様の横顔があった。

カヤ様は、ただただ、呆然とした表情で突っ立っているだけだ。




「……カヤ様」




小さな声で呼びかけるけれど、カヤ様は反応すらしない。



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