everlasting love~幾星霜の果て


しばらくの沈黙のあと。

カヤ様は何かを決心したかのように唇をかみ締め、わたしに言った。




「行くぞ。付いて来い」





カヤ様が向かったのは、ヒメミコ様が眠る殯宮でもヒコミコ様の住まいでもなかった。


王族が住まう内郭を出るとき、警固している兵がわたしたちを止めたけれど。

次期女王のカヤ様だと気づいて、すぐに道を開けてくれた。



闇のなかをひたすら走り続け、徐々に見えてきたのは、奴婢たちが住まう集落。

タスクに会うのだと分かったわたしは、走る足を止めた。




「……カヤ様。わたしはここで見張りをしています。どうぞ、行ってください」




カヤ様の守護神にでもなったかのように、毅然とした態度で言い放つと、




「すまない」




カヤ様は小さく笑って、闇に消えて行った。



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