everlasting love~幾星霜の果て


この辺一帯は、ヒメミコ様が使う薬草のある場所。

よって、奴婢はもちろん平民でさえも立ち入りを禁じている。




『おまえは奴婢だろう? ここがどういう場所か分かって……』




厳しく咎める言葉が、つい、止まってしまった。


振り返って、わたしを見たあなたの瞳が。

一点の曇りもない、とても澄んだ瞳だったから。




『どうか、見逃してください。妹が重い病にかかってしまって。……ヒメミコ様の薬草ならきっと治ると思って……』




助けを請うかのようにひれ伏すあなたに、わたしはつい、溜息をついた。




『薬草だけ持って行っても治りはしない。ヒメミコ様の霊力が加わらなければ、それはただの雑草同然だ』




はっきり言うと、あなたは絶望的な表情を滲ませた。



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