everlasting love~幾星霜の果て


この出会いをきっかけにして、わたしがタスクに惹かれていくのにそう時間はかからなかった。



時折、神殿の露台から奴婢たちの住まう集落を眺めた。

同じ身分の者同士、肩を寄せ合い、楽しそうに暮らしている。

いちばん身分が低く、国じゅうの者たちからいいように利用されている奴婢。

それでも彼らは、自分たちの集落では笑顔を絶やさない。



……奴婢に生まれればよかった。



そう思いそうになったけれど、寸でのところでその思いを拭い去った。

次期女王にとって邪念は禁物だ。

霊力が劣ってしまう。ヒメミコ様に見抜かれてしまう。



毎日、精神の均衡を保つのに必死だった。

主祭殿にいるときは、民たちとこの国の安泰だけを願い、ヒメミコ様とともに神に祈りを捧げる。

タスクのことは頭のなかから完全に消去した。




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