everlasting love~幾星霜の果て
ヒコミコを嫌う気持ちは、ヒメミコ様の死をきっかけに憎しみへと変わった。
王や領主が亡くなると、その従者として奴婢たちも殉葬される。
ヒメミコ様はこの慣例をひどく嫌っていて、自分が死んだときは望む者だけを旅立たせよ、と言っていた。
それなのに。
ヒコミコはそれに従わず、慣例どおり奴婢たちを殉葬することを決めてしまった。
奴婢たちはもちろん、わたしはタスクの命も守りたかったし、ヒメミコ様の願いも叶えなければならないと思った。
けれど、ヒコミコがわたしに言い放った言葉が、自らの立場を思い出させた。
“女王たる者が1人の従者も持たずに神のもとへ旅立つとは……嘆かわしい”
偉大な女王・ヒメミコ様が、たった1人で神のもとに……。
ヒメミコ様は“望む者だけを”と言っていたけれど、もしもそれがごくわずかだったら?
……女王としての威厳が損なわれてしまう。