everlasting love~幾星霜の果て


「………」


「あのとき、カヤ様は民たちよりもタスクを選んだ。それによって多くの民たちが命を落とした」


「………」


「カヤ様の世界は、あなただけを中心にまわっていないのよ。多くの民たちへの懺悔を中心にしてまわっているの」




――それが、女王としての責務……




あのころ奴婢だった俺は、カヤの立場をちゃんと分かっていた。

だからこそ、“一緒に逃げよう”と言ったカヤを突き放した。




それなのに今の俺は。

“蜂谷 麻友”として生まれ変わったカヤと、この平和な世界にすっかり染められていて。




彼女がいまだ、“民たちを見捨てた女王”としての苦悩に苛まれていることに目を背けていたんだ。



< 462 / 555 >

この作品をシェア

pagetop