everlasting love~幾星霜の果て


“磯辺”と呼ぶべきなのか。

“ヒコミコ”と呼ぶべきなのか。



躊躇しているわずかなあいだに、彼の身体は跡形もなくキレイに消え去ってしまった。




『――イヨ』




次は、律の番だ。

消え去ったヒコミコを前に、律は小さく震えている。

しかし、ヒメミコ様の表情を見れば、律への宣告は残酷なものではないとすぐに分かった。




『おまえは常に主君に従順であった。そして、国を立派に治めてくれた。カヤのそばにいたいというおまえの願い、叶えてやろう』




何も怯えることなどないのに。

律は唇を震わせ、涙を零しながら俺と麻友のほうを見る。



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