everlasting love~幾星霜の果て


4月、中学の入学式。


6年間お世話になったランドセルから解放された背中が、やけに軽く感じた。

初めて着る詰襟の学ランは少し首もとが苦しい。


中学の校舎に続く桜の並木道。

真新しい制服がなじまない緊張した面持ちの新入生と、その保護者が数組歩いている。




「……ったく、親離れしろっつーの」




そんなヤツらを横目に、1人、桜並木を歩く。

今朝、おふくろが一緒に家を出ようとしたけれど、母親と一緒に学校に行くのがなんだか恥ずかしくて。

腹が痛いから先に行ってて、と、嘘をついてトイレに篭り、おふくろを送り出した。



詰襟と首のあいだに指を2本入れ、苦しさを紛らわせながら歩いて行くと、自然と足が止まった。



< 500 / 555 >

この作品をシェア

pagetop