everlasting love~幾星霜の果て


俺の視線の先には背の高い男子が1人、立ち止まって桜の木をぼんやりと眺めていた。




――それが瑠衣、おまえだった。




……変なヤツだな。

男のくせして、桜の木に見入ってるなんて。



とにかく俺のなかでの第一印象は、“変なヤツ”だった瑠衣。

けれど、穏やかな表情で桜を見るその横顔があまりにも絵になっていて、俺は視線を奪われた。




「……苦しいんなら外せばいいじゃん」




そばを通り過ぎるとき、瑠衣がそう言って俺のほうを振り返った。



こいつ、やっぱり変なヤツだ。

ずっと桜だけを見ていたくせに、俺が詰襟を息苦しく感じていることに気づくなんて。




< 501 / 555 >

この作品をシェア

pagetop