everlasting love~幾星霜の果て


普段どおり制服を着て、お母さんが作った弁当を持って。

「行って来ます」と言って、家を出たのに。


瑠衣は学校に来なかった。



ほんとうに、瑠衣は遠くに行ってしまったんじゃないか。



たまらず、学校から帰ってすぐ瑠衣の家に電話をしたけれど、誰も出なくて。

何度も何度も、電話の前でウロウロしていた。



そして、また掛けてみよう、と思い立った夜8時すぎ。




「慶太ー。瑠衣くんのお母さんから電話よー」




掛かってきたのは、瑠衣本人からじゃなくて、お母さんからの電話だった。





「……え? すみません、今なんて……」




お母さんの話に、思わず耳を疑った。


N県の和泉市にある遺跡の近くで、瑠衣が、たった1人で倒れていたらしい。

遺跡の見学に来ていた人が倒れている瑠衣を見つけたのだけれど、意識不明の状態だった。



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