everlasting love~幾星霜の果て


やっぱり俺は、“なにか”を忘れているんじゃないか。



慶太が帰ったあとも手首に付けたままのブレスレットを眺めながら、ずっと考えていた。


物心ついた頃からの記憶をゆっくりと辿ってみれば、その記憶はきちんと蘇る。

けれど、高校に入学したあたりからの記憶は、所々が欠如しているような気がした。



軽い記憶喪失なんだろうか。

それとも、俺の脳が“たいしたことのない記憶”だと判断して、きれいに消去してしまったんだろうか。

もしかしたら、そのうち何かの拍子に思い出せることがあるんじゃないだろうか。





――自分の欠けたであろう記憶について、あれこれと考えていたのは、結局わずか数ヶ月程度だけだった。




大学に入学して新しい生活に入ってみれば、自分の記憶のことなんか頭のすみにも残っていなかった。


引越しの荷物の中から慶太が見つけたブレスレット。

何気に気に入ってしまって毎日のように身に付けていたせいか、今ではカラダの一部と化していると言っても過言ではない。



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