喧嘩屋土門

文字通り顔を潰されて仰向けに倒れるゴロツキには目もくれず。

「するってぇと何かい…そこの肉達磨が件の雲竜小五郎かい…」

土門は振り向いて大男を見た。

「…小僧、てめぇは何だ。近所の出しゃばりなら、過ぎた任侠心は怪我の元だぜ？」

別段顔色を変えるでもなく、大男…雲竜は土門を見下ろした。

「兄貴！こいつですぜ！こないだ商人とこの娘を掻っ攫おうとして邪魔したのは！」

雲竜の手下らしいゴロツキの一人がそんな事を口走り。

「うぶふぁ！」

雲竜の平手で張り倒された。

鼻が曲がり、前歯が飛び散り、口から鼻から血が撒き散らされる。

「チッ…いらん事をベラベラ堅気の前で…」

雲竜が舌打ちした。