喧嘩屋土門
距離をとって土門が拳を握る。

「そういや力士だったな、てめぇ…親方殺したぁ畜生にも劣る所業じゃねぇか」

「力士なんざ辛抱の連続だからな…何を血迷って褌担ぎなんぞに首突っ込んだんだか、当時のてめぇがわからねぇよ」

着流しを片肌脱ぎにして、雲竜は低く構える。

相撲の立ち合いの構えだ。

その巨体は弛んだ脂肪に包まれているように見えるが、あの分厚い脂肪の下は、硬く鍛えられた筋肉の鎧が隠されている。

「ヤクザ者はいいぜぇ?誰に咎められる事なく暴れられる。持って生まれたてめぇの力を…」

雲竜は立った!

「何でてめぇ勝手に使っちゃいけねぇんでぇ!」

そのまま目を見張るように瞬発力から、土門の細身の体に張り手を見舞う!

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