喧嘩屋土門
腰に手を当て、仁王立ち。

向日葵は土門を睨む。

「ツケ幾ら貯まってると思ってんの!まずはそれを綺麗にしてからでしょうが!」

「んでぇ…小せぇ事抜かすんじゃねぇよ」

椅子を引き、土門はドッカと腰掛ける。

「金はねぇ、仕事もねぇ、だが飯は食う」

「あんたどこまで図々しいのよ…」

握り拳を作って身を震わせる向日葵。

もう一度盆で、このふざけたオツムに喝を入れようとして。

「まぁまぁ、いいじゃないか向日葵ちゃん」

商人らしき身なりのいい中年男が、向日葵に金を渡した。

握らされた金は、中年男の注文した定食の代金より多い。

「あ、あの…これ定食のお代金よりも…」

「多い分は土門さんの飯代にしてくれ」

そう言って中年男は、土門に微笑みかけた。

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