喧嘩屋土門
「その雲竜がどうかしたんですか?」

この飯屋で一番安い麦飯を運んできた向日葵が、話に口を挟む。

「ああ…その雲竜、最近見ないと思ったら、どうも筋者に落ちぶれてるらしいんだ」

「筋者って…ヤクザ?」

恐ろしそうに向日葵が盆を抱き締めた。

元々雲竜は相撲部屋に入っていたが、折り合いの悪さから親方を殺してお上に追われていた所をヤクザ者に匿われたらしい。

力士としての腕と、親方をも殺す気性の荒さで、裏の世界でのし上がっているのだとか。

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