カワラナイデ。


それでもしつこく聞いてくる伊織に、


「伊織が川で溺れる夢」


と言った。


またデコピンされたけど。





「もう!遅いじゃないっ」


下に降りると、お母さんが冷めちゃうじゃない!とでも言いたげな顔で座っていた。


「ごめんなさい、こいつ寝起き悪くて」

「本当よねぇー」


お母さんは憐れんだ目で私を見た。


…悪かったですね、寝起き悪くて。


私がしばらくぶすくれていると、伊織が笑った。



「嘘だよ、ごめんな?」



私の頬をつねる。



「…はんしぇいししぇるの?(反省してるの?)」

「うん、してるしてる」


そう言いつつ、伊織はうにうにと頬を触る。

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