カワラナイデ。
別に、痛くはないけれど。
伊織は機嫌良さげに席につく。
そこでようやく、頬から手が離れた。
「おいしそうですねー…」
伊織の目が輝く。
…確かに、おいしそう。
お母さんは料理上手だ。
それに対して、私は全然できない。
『いただきます』
3人で食べ始める。
魚のホイル焼き、唐揚げ…。
他にもたくさんの魚料理がテーブルの上に並んでいる。
「お父さんにも食べさせてあげたいわ」
「郵送するつもり?」
私は笑った。
お父さんは単身赴任中。
伊織と同じ東京に住んでいる。
伊織は相変わらず箸を進めている。
「全部おいしいです」
「まぁ、嬉しいわぁ。また来てちょうだいねっ」
お母さんが嬉しそうに笑う。
伊織も嬉しそう。
…私も、料理頑張ってみようかな。