カワラナイデ。



「おっさん扱いされてたまるかっつーの」


伊織は勢いよく地面を蹴る。


ーだけど。



「うわっ」
「きゃっ」





勢いよく滑り落ちたのは、伊織の方だった。




…嘘でしょ?


「だ、大丈夫…?」


「……」



まさか本当に出来なくなってるなんて思ってなくて、かける言葉がなかった。



「伊織…?」



呼びかけても応答がない。




伊織の手がぎゅっと草を掴む。



「くっそ…」




伊織が立ち上がる。

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