白い翼と…甘い香り

■1時間後■


結局、私は
彼の部屋に来ていた。

管理人に電話をしようにも
サイフも携帯も持ってなくて

仕方なく、彼の部屋で
電話を借りる事しか
浮かばなかった。

タイミング悪く
管理人は出掛けていて

夕方にならなければ帰らないと
留守番電話がそう告げる。

もう少し、しっかりした管理の
マンションにすれば良かった
そう思っても今は仕方ない。



彼は
俺のせいだからって謝りながら

管理人が帰るまで
ココで時間を潰してと

そう言いながら結局
お蕎麦を茹で始めた。

どうせなら
一緒に食べようよ!と

人懐っこい笑顔で笑う。




さっき彼は私に

「もう少し話したかった」

と、そう言った。



私と、何を
話すんだろう?

話す事なんて、ある?


年齢もまったく違う
さっき出会ったばかりの2人で

どんな話題が
あるんだろう?




でも

そんな言葉を
掛けて貰ったのは


何年ぶりだろう…


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