白い翼と…甘い香り
■12時間後■
深夜は少し肌寒いねと言って
私たちは室内に戻り
もう一杯の
暖かいコーヒーを飲みながら
笑いあっていた。
色んな事を考えて辛くなっても
気持ちが溢れて一杯になっても
たった一言の言葉だったり
穏やかに笑う
和也の笑顔だったり
ほんの小さな事で私たちは
すぐ笑顔になれた。
もうそろそろ寝る?
って言いながら
2人で洗面所に行き
並んだ歯ブラシを見るなんて
些細な事が、とても嬉しい。
私が、食材と一緒に持ってきた
お気に入りの
コップもハブラシも
ちゃんと
居場所を確保したように
並べてくれてる。
和也の使っている
歯磨き粉はとても辛くて
もう少し甘いのは無いの?と
顔を歪めて言う私に
やっぱり
ガキみてぇだって笑った。
ハミガキの後で
ソファーに並んで座りながら
「1日が、終わっちゃうね」
なんて、ちょうど日付が
変わりそうな時間だった。
「和也に逢って、何時間?」
「ん~、ちょうど半日
12時間くらい?」
そう言って
また2人で笑いあった。
「まだ、半日なんだね」
「なんか、濃い1日だったな」
時間は
関係ないと、思っていた。
たった半日だけど
どれだけ意味のある
時間だっただろう。
「ねぇ、半日で何回
キスしたっけ?」
耳許に口を寄せて
甘い声で囁く。
「数え、切れないね」
照れくさくなって
うつむいて笑った。
「じゃ、もう1回」
うつむいている私の肩を
ギュっと抱き寄せると
回り込むような
素早い動きに抱え込まれて
ちょっと、強引なキスをする。
「ん…」
キスの回数を
重ねる度に
また1つ和也の事を知って
また少し和也に近付いて
2人の距離も
近くなってる気がしてた。