白い翼と…甘い香り
出会って
まだ12時間?
まだ、たった半日しか
和也の事を知らない?
でも、それが何なの?
それで、本気で
恋しちゃいけないの?
何かに反抗するみたいに
そう思ってた。
今日だけで
何回のキスをした?と
和也は聞いた。
結婚して、数える程しか
寝てない主人よりは
間違いなく多い。
1度もキスをしないで
義務のように
私を抱いた事もあった。
そこに、愛があったとは
どうしても思えない。
でも、和也のキスは
そうじゃない。
私には知らない事が
たくさんあるけど
でも子供じゃないんだから
気持ちを込めたキスくらい
ちゃんと分かるつもりでいる。
もし分からなくても
私がそう感じるのだから
それが正解だって
思っていたい。
結婚して何年も一緒にいた
主人との長い時間より
今日の短い12時間の方が
私には、ちゃんと
生きてるって実感できた。
それも、「女」として
生きてる!って事を
分からせてくれたから
だから
自分が存在する意味を
無意味だと
思わなくなった。
たった
1人の為でもいいから
意味を持って生きたい…
誰かに
必要とされたい…
そんな事を思っていた
何年間もの寂しかった日々も
希望を持たずに
生きてきた私の気持も
和也は、たった半日で
変えてしまった。
そんな意味のある
12時間を過ごした事は
1度も無かった。
誰かを好きだと思う
暖かいけど
少し切ない気持ちは
とても
人間らしい感情を
思い出させてくれた。
だから
1回ごとちゃんと
愛を込めたキスは
暖かくて優しくて
私は和也の首に
手を回して抱き締めて
もっともっと近づきたいと
力を込める。
その私の身体を
ちゃんと
抱き返してくれる事が
何よりも嬉しかった。