白い翼と…甘い香り

「俺が、飼い主」

「え?」



「だから、名札…
それを俺が付けた。

勝手に外しちゃ
いけないんだよ?」



「どういう…?」


「裏側に
俺の名前が入ってる」

「……」


「Kazuyaって
英語で刻印してある。

だから、俺が飼い主」




今、和也が
どんな顔をしてるか見たい。

どんな優しい顔で
そう言ってくれるのか

それをじっと見ていたい。


薄暗い明かりの中で
シルエットのように浮かぶ
和也の顔が

穏やかに
笑ってるのは分かる。



でも今
吸い込まれるような目を

じっと見つめたいと思う。



そのまま
叶うのならば

吸い込まれてしまいたい。



このまま自分が


溶けてしまいそう…



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