白い翼と…甘い香り
そう気付いても
私はここから
抜け出す勇気も無かった。
諦めているのか
どうでもいいのか
良く分からない
でも
期待する事も
暖かさを求める事も
やめてしまった。
誰かに必要とされたい
想い合いたい
温もりが欲しい
抱き合いたい…
私をちゃんと
認めて欲しい…
「ねぇ
なに考えてんの?」
窓の外を見ながら
ぼんやりしてた私に
彼は少し
心配そうな目を向けた。
「何でもないよ。
ねぇ、それより
ご馳走してくれるお蕎麦は?」
私はいつも
そう馴々しく相手に
近寄ったりしないのに
彼の笑顔や態度は
若者特有の近寄りやすさを
全面に出していて
何も気にせずに話していた。
「もう、出来る。
ソコ座ってて!」
「何か、手伝おうか?」
「いいって、俺が誘ったし」
変だよね。
30分前に初めて逢った
若い男の子の部屋で
一緒にお昼ゴハンを
食べようとしてる。
引っ越して来たばかりだと
言う通り
段ボール箱が何個か積まれた
部屋を見回しながら
ダイニングのテーブルで
座って待ってた。