白い翼と…甘い香り

あの日から始まった
この恋は

もうどのくらいの思い出を
溜め込んだだろう?


私の中に
書き記された記憶は

溢れるくらいに
たくさん増えていたのに

それでも
飽きることなく貪欲に

和也に向かう
真っ直ぐな気持ちは

どんどん日増しに
確実に増えていった。



たくさんの気持ちと
言葉を受け取り

それを私も同じだけ
返そうと必死になり

そして…
夢中になった。



心を震わせてくれる
言葉に惹かれ

恋をしている
自分に酔い

甘くて安心できる
時間に浸り

そして
彼がくれる身体への
愛にも溺れていた。



だけど
夢中になればなるほど

どちらが
現実の世界か分からず

彷徨っているような
気持ちになる事もあった。



和也の存在が

私を鮮やかな
カラーの世界に連れて行き
現実の物にして

和也の居ない世界を
想像できなくなった。



いつか消えてしまうかも
知れないと思いながら

その世界が鮮やか過ぎて

目が眩んで
いたのかも知れない。


幸せな事にしか
目を向けられなくて

暗い部分には
目を伏せて過ごす毎日。


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