白い翼と…甘い香り

「パスポート
必要な書類は用意したから
早めに行ってくるように」

そう言って
白い封筒を差し出す。


私の言葉など、最初から
聞いてくれるとは
思っていなかった。


仕方なく黙って差し出された
封筒を受け取り

「分かりました…」
と答える。

それ以外に、私にはもう
言う言葉がなかった。



言いたい言葉を
すべて飲み込み

自分の感情を
抑え込んで我慢する。



和也に対して

あんなに
素直になれる私は



和也の前でしか


存在できない。




あと

20日しかない…



和也に逢えるのは

それだけの

時間しか、ない…



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