白い翼と…甘い香り
「ねぇ、パジャマも
持ってた方がいいよね?」
自分の部屋から戻った私は
小さなカバンに
明日の着替えと下着
少しの化粧品と
パジャマを詰めてきた。
「いらねーだろ?
普通、浴衣かバスローブ
そんくらいあるし」
「あっ、そっか、そうだね。
じゃ、置いていこうか?」
いつもどこか抜けてる
世間知らずな私を
和也はとても
優しい目で見てくれる。
そうよね、浴衣くらい
普通は置いてあるよね~と
当たり前の事に気付きながら
カバンから
パジャマを取り出した。
「歯ブラシとかも
持ってんじゃねぇの?」
笑いながら
からかうように言う笑顔が
大好きでたまらなくて
カバンに入った歯ブラシを
どこへ隠そうかと
苦笑いをしてしまう。
「なぁリカ、どっちがいい?」
私にもパソコンを見るようにと
画面を指さして呼んだ。
「季節外れの平日だし
けっこう空いてるもんだな」
そう言って
マウスを操りながら次々と
色んな画面を見せてくれる。
「温泉にする?」
「温泉??、入りたい~!」
「海沿いのペンションとか?」
「それいいね、
海の近くっていいな~」
「山の中の、秘境とか?」
「どんな所なんだろう?
ワクワクするね」
「街の中のお洒落なホテル?」
「やだ~、行ってみたい~!」
何を言われても
どんな所だと言われても
楽しくて嬉しくて
和也と一緒ならそれでいい。
「決まんねぇーだろっ」
笑いながらそう言う和也も
候補が多くて
迷ってるみたいだった。
「リカが決めれば?」
「だって、迷うんだもん」
「何か、決め手はねぇの?」
「ん…、じゃあね
和也と夜遊びがしたい。
街をブラブラ買い物とか
夜の公園を散歩したり
そういうのしてみたい」
「そんなんでいいの?」