白い翼と…甘い香り

どこかへ座ろうと思っても
あっちこっちのベンチは
全部がカップルで埋まっていて

そこへ割り込んで座る
勇気は無かったから

「あっちの階段で
座っちゃおうよ」と

近くに人影がないことを
確認しながら歩き
階段の1番下に腰を下ろした。


正面に立った和也は
手に持ったコーヒーを
私に1つ渡し

真後ろへ回り込むように
私より1段上に座ると

和也が開いた両足の中で
抱え込まれるみたいな
姿勢になった。

膝を立てて大きく開き
その間で

私の背中は
和也の胸元に密着してる。

後ろからゆっくりと手を回し
抱え込むように抱き締めた。

「人がまだ、多いよ…」

手を繋ぐ事は平気でも
いきなり抱き締められると
少し人目を気にして驚いた。

「んなの
誰も気にしてねぇよ」

和也の視線の先へ目を向けると
周りのベンチに腰掛けた
何組ものカップル達は

自分の事で精一杯という
雰囲気で身体を寄せ合っていた



淡い色の
イルミネーションが灯る公園は

まるで恋人達だけの
場所みたいで

その公園の片隅にいる私と
和也は恋人同士なのか

ここに居ても良いのか

この場所には
似合わないんじゃないかって

何だか顔を伏せてしまう。

和也はいいけど
私がココに居ちゃ
いけないみたい…

そんな風に、感じた。

周りに居る
幸せそうなカップルは

私には無いものを
持ってるみたいで
少し眩しい気がした。


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