白い翼と…甘い香り
和也は缶ビールを開けながら
ヒマそうにベットへ腰掛けて
テレビを見てた。
私はお茶を飲みながら
和也のすぐ横で
ゴロンとベットへ俯せになる。
肘をついて和也が集めてくれた
ガイドブックを眺め始めると
和也はテレビを消し
私の真横で同じ姿勢になり
ガイドブックを覗き込んだ。
「ココ、行ってみる?」
「うん、景色がすごく
キレイな感じだよね」
「こっちは、美味い海の幸が
食べれるらしいぞ」
「それもいいな~」
「ココは、日帰りで
温泉入れるってさ」
「ん~、迷っちゃうよ。
和也はどこ行きたい?」
頭をくっつけ合うように
小さなガイドブックを覗き込み
足を少しバタバタさせている。
肩も腕も触れ合って暖かくて
頭を寄せ合っている2人は
何だか子供みたいで
不思議なくらいに
気持ちが落ち着く。
ただ、楽しめる事を
楽しもうとする純粋な気持ちが
私のモヤモヤした心も
キレイにするみたいで
真っ直ぐ見えなかった
澄んだ和也の目が
霧が晴れて来るように
キラキラして見えた。
和也は、段々と私を
キレイな気持ちに
するみたい…
「ここから1番近いのどこ?」
「ん~と、コレじゃね?」
小さなガイドブックの中の
小さな記事を指差して
「伝説が残ってる
有名な神社だって」
癒される海際の風景と
歴史を感じる荘厳な建物が
私を
引き寄せるような気がした。