白い翼と…甘い香り

「それで?」


「あぁ、それで、少し後ろを
駅まで歩いてキップを買って
同じ電車に乗ってみた。

俺はリカを知ってたけど
リカは俺の顔を知らねぇし
尾行は簡単だったんだ」


「尾行って…、アハハ」


「追い掛けて電車に乗ったら
平日の昼間だし
けっこう空席があって

俺が先に座ったんだけど
空いてる隣りの席に
ちょっと迷いながら
リカが座ったんだ」


「ホントに?」


「ホントだよ。
だってあん時リカさぁ
1つ乗り過ごして
引き返しただろ?」


「それも知ってるの?」


「知ってる。
隣りに座ったリカは、すぐ
ウトウトして寝ちゃっただろ。

あん時
俺の肩にもたれてたよ?」


「うそっ?」


「ウソじゃねぇよ。
俺の方が焦ってたんだ。

リカは周りの事に
無関心だっただろうけど
俺は知ってて尾行してたんだし

これから隣りに引っ越すんだし
なんか顔を覚えられても困るし
気まずいじゃんか」


和也は、懐かしい事を
思い出すように話してくれた。


私は、ずっと驚きながら
大事な事を聞き漏らさないよう
必死で理解しようと聞いていた


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