白い翼と…甘い香り

俺の隣りで、少し肩に
もたれかかって寝てたリカは

急に目を覚まして
俺に「すみません」って
小さな声で謝ったんだ。

で、外の景色を見回して
慌てたように立ち上がり
すぐに次の駅で降りた。

だから俺も降りたけど、リカは
ホームを移動しただけですぐ

引き返す電車に乗ったから
乗り過ごしたんだって気付いた

けっこう
どんくさいんだなぁって
俺、ちょっと笑ってた。

その後、1駅だけ戻って
電車から降りたリカは
電器屋に向かったんだ。

クーラー売り場の前に
居たのも知ってる。


それ以上はあんま
見てらんねぇから

店の外でブラブラしながら
時間つぶしたりしてた。

後をつけて、なんか目的が
あったとかじゃねぇんだ。


つまんなそうにしてる姿の方が
印象に残ってる。


あの日が七夕だったかどうか
俺は覚えてねぇけど

クーラー売り場に居たのは
見たから同じ日じゃねぇの?


電車で居眠りして
見た夢って

俺にもたれて見てたんかな?


でも俺、そんな
ストーカーみてぇな事

1回きりしかやってねぇよ。


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