白い翼と…甘い香り

「それは、和也の本音なの?」

「どういう、意味?」

「本当に私を帰したいの?
帰っても良いの?」

「そうしなきゃ
しょうがねぇだろ?」

和也の声が、少しだけ
怒りを含んだように
低くなった。

しょうがないのは私だって
嫌って言うほど分かってる。


でも和也は、自分の気持ちを

抑え込んでない?



「どうしていつも
そんなに優しいの?

私が悪いって
少しは責めてよ!

いつも、和也に
負い目を持って苦しいよ…

責められた方が楽な時だって
あるんだからっ!」



言い過ぎたと、思った。

和也は、じっと私を見てる。

怒りを含んだ目を私に向けて
それでも言葉を迷ってるように

まだ私を傷付けない言葉を
探してるように、黙ってた。



「私と一緒にいて傷付いてるの
和也の方でしょう?

いつも我慢してるのだって
私じゃないわ。

たまには私を…
責めたらいいじゃないのっ!」


私がこんな事を怒ったように
言うのは間違ってるし

筋違いだって分かってるのに
止まらなかった。

いつも心に抱えた不安が
爆発するように

責めてくれたら
楽だと言いながら…


ホントは

優しすぎる和也を
責めていた。


和也のこういう優しさが
ウソではないと知っていたのに

いつもゴメンね…と
心の中で謝ってばかりいる私は

ホントにね…

和也の優しさや思いやりが
苦しくて痛かったんだ。


好きになればなるほど
私は自分で

どうしようもない負い目を
抱え込むんだよ…


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