白い翼と…甘い香り
「リカを責めたら
何か変わんのかよっ!
今は男と
ホテルに居るから帰れないって
リカは旦那に言えんのかっ?」
怒鳴る声ではなく、何だか、
悲しさを押さえ込んだような
切なくて、寂しい声だった。
我に返って
低くかすれた声で
「ごめん…」
と付け足した。
和也の「ごめん」という一言が
また私に、突き刺さる。
謝ることなんて
1つもないのに…
「謝る事なんて無い
その通りなんだもん。
私こそ言い過ぎた
ごめんなさい」
冷静に大切な事を見極めなきゃ
続かない関係だって分かってる
今は和也の言うとおり
素直に余裕を持って
帰ることが1番大事で
長続きするためだって
頭では分かってるの。
でも、違う…
違うんだよね。
もう、終わらせる日を
知ってる私は
それを、和也に
まだ告げられないけど
時間が、もう
残されてないことを
知ってる。
長続きなんてしないことを
私は最初から
知ってるんだ…
だから、あと少ししか一緒に
居られないと知ってる私は
今夜、どうしても朝まで
一緒に居たかった。
でも、そんなの和也から見れば
ただの、ワガママなんだよね…
和也は
ごめんなさいと言った私を
ゆっくり抱き締めた。