白い翼と…甘い香り

「リカは…

俺には良く分かんねぇけど
それでも

リカの世界を
一生懸命に守ってんだろ?

俺と一緒にいる生活と
同じように、そっち側も
やっぱ大事にしてんだよ…

ソコが壊れちゃ
俺たち、もう

逢えねぇんじゃねぇかって
不安なんだ」


抱き締められて
耳許で言う切ない言葉に

どう答えればいいか
分からなかった。

「違う」という言葉を
かろうじて飲み込んだ。



違わないのかも
知れない。

和也の言う通りかも
知れないね。

何かが、変わることの方が
恐い…

変えようとする事の方が
ずっと多くの勇気を必要とする

だから、変わらない部分も
ずっと持ってたかった。



私は、ズルイ…


和也よりも
自分の方が切ないと思ってる

そういう私はズルくて
弱虫…



例え、傷ついても
悲しいことがあっても

取りあえず安心して過ごせる
自分の場所を

ちゃんと残してある。


余りにも真っ直ぐに
全力で向かってくれる和也は


もしかして…ココしか
この場所にしか


居場所が、無いの…?


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