白い翼と…甘い香り
ガチャリと玄関で音がして
「ただいまっ!」って
元気な声が聞こえて来る。
「ゴハン作ってくれたの?
俺も手伝うのに!」
「だって昼から
暇だったんだもん」
「今日は何か
いい事とかあった?」
いつも、こうやって
聞いてくれる。
「ん~、いつも買うお肉が
売り切れてたの。
そしたらね、高い方のお肉を
いつもの値段で売ってくれたの
あのオジサン
いつも気前いいよね」
「良かったじゃん。
リカはいっつも食い物に
釣られてるけどな」
ほんの小さな
ほのかに感じる幸せを
一緒に喜んでくれる事が嬉しい
どんな姿も否定しない態度が
どれだけ私を慰めて来ただろう
ジャケットを脱ぎTシャツと
ジャージに着替えながら
それでも私から目を反らさず
話を聞いてくれてた。
「へぇ~」とか
「そんで?」とか
続きを聞きたがってくれる
その態度がとても嬉しい。
作った料理を温めようと
立った私の背後に寄って来て
背中からお鍋を覗き込む。
そんな仕草が
愛しくてたまらない…
「めっちゃ美味そう」
と言うから
「先にお風呂は?」
と聞く。
「一緒に入ろうよ」
と、少し甘えた声で
想像通りの言葉が返って来た。