白い翼と…甘い香り

■あと12時間■


いつものように
コーヒーを淹れてくれて

リビングでくつろぎながら
DVDを見てた。

和也が見たいと言って借りた
心にじぃ~んと来るような
物語りだったけど

私はあまり
本気では見てなくて

画面を見ながら考えごとを
してるような感じだった。


「なに、考えてんの?」

ぼんやりしていた
目の焦点が合うと

見てたはずのDVDは
とっくに終わり

横からじっと見てる
和也と目が合った。

「ううん、何も」

「リカ、最近変だよ?」

「そっかな?」

「うん
よく考え込んでんじゃん」

「そんなこと、無いよ…」



今は、笑おう!

笑わなきゃ!



そう思ったのに、私の顔は
凍りついたみたいに

どうしても
笑顔になれなかった。



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