白い翼と…甘い香り

「いつから…?
いつから行くの?」

「……」

「今すぐじゃ
ねぇんだろ?」


時間をかけて
私を説得して

思いとどまらせるつもり?



ごめんね…

そうならないよう
気持ちが迷わないよう

ぎりぎりの
今日まで待ってた。


「明日、昼前の
飛行機に乗る」

「明日?」

「うん…」


それきり
和也は黙り込んだ。


ソファーに
もたれかかるよう

カーペットに座り
片膝を立て

その膝の上に乗せた手の
指先が苛々と机を叩く。

コツコツと爪で
弾くような音をさせて

多分それは

怒りを抑えている
動作だった。

黙って、私を見ないまま
首をガクッと落として
考え込んでる。

どう返事をしようかと
考えながら
かすれた小さな声で


「決めたの?」

と言ったけど
私にはうまく聞き取れなくて

「えっ?」

と、思わず聞き返した。




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