白い翼と…甘い香り

「変かな?

でも
相手の事を知りたかったら

どうでもいい話なんか
1つもねぇよ」


「………」


「知りたいから
小さい事でも
聞きたいんじゃね?」


「どうして…?
誰の事でも、そうやって
知りたく、なるの??」


「ん……、違うよ。
知りたいって、思った人だけ

なんだかすっげぇ
近付きたくなんだよ。

いっぱい知りたくなる」


何とも言えない無邪気な顔で
真っ直ぐに私を見て、笑った。



「もう、帰る…」



和也の顔を
真っ直ぐに見えなくて

何も言葉が出て来なくて

この場所にじっと
座ってるのが切なくて

「帰る!」と言って
席を立った。


これ以上ここに居たら
何を言ってしまうか
分からない。



凍った物が

もう、溶け始めてる…




閉じ込めた何かが

こぼれ始めてる…





諦めてしまった事を


まだ
探してた自分に



気付いてしまう…


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