白い翼と…甘い香り
バタバタと走るように
玄関へ向かっていると
背中から慌てた声で
「帰るって
カギ開いてねぇじゃん!」
って、追い掛けてくる。
「いいのっ!」
私がドアノブを掴んだとき
もう一方の手を
和也に掴まれた。
少し強引に
振り向かせようとする。
何だか
分からない…
でも
ほんの些細な言葉に
心を掴まれて
ギュッっと締め付けられて
切なくて
何だか泣きそう…
「俺
何か余計なこと言った?」
腕を掴んで
下から覗き込むような動きで
心配そうに
私を見ようとするから
もっと顔を伏せる。
もう、真っ直ぐな目で
見られたくない。
心を、鷲づかみに
されたくない。
寄り掛かりそうに
なる…