白い翼と…甘い香り
私に気付いてない
和也を遠目に見てたら
携帯を取り出した
様子が分かった。
何となく
予想した通りに
私の携帯が鳴る。
和也だけに設定した
メロディが
控え目な音で
鳴るのを聞いて…
どうしてだろうね。
まだ、何にも
終わってないような
気がするの…
まだ、ずっと
繋がってる気がするのは
何で、だろうね?
もたもたと
カバンの底から携帯を探し
取り出して通話ボタンを押し
顔を上げて前を見るのと同時に
「見つけた…」
と言う、声が聞こえながら
目が合った。
私たちはこの時
何メートル
離れていたのだろうね。
それなのに
笑ってる顔が
見えたんだよ。
人ごみに紛れても
目の前を行き交う人が
何人いても
真っ直ぐにちゃんと
視線が絡んでると分かる。
私ね…
きっと目を伏せていても
和也の表情は見えると思うの。
どんな顔で笑ってるのか
ちゃんと見えるよ。
そんな、かすかな
自信があるんだ…